泡ちゃんのしゅわっと生きようぜ

泡ちゃんのしゅわしゅわしてるブログ

想いだけが残る

思えば、君と一緒に過ごした日々よりも離れて暮らした日々の方が長くなっていた。

君と初めて会ったのは僕が中学1年生の時だったね。

前年に社宅から一軒家に引っ越していた僕たち家族は、犬を飼おうって話していたんだ。

 

生後3ヶ月の君と初めて会ったのはペットショップだった。

その数日前、僕の両親が一目見て君に決めたんだよ。臆病で、両親を見て震えて後ずさりしたんだって。

優しい店主の個人経営のペットショップにやって来た次の日に、君はうちに来ることが決まったんだ。二人の姉妹はもう他の人の手に渡っていて、男の子の君だけが残っていた。

 

そうして僕たちの家族の一員になった君だけど、最初は不安でいっぱいだったと思う。

臆病な君には、最初は何から何まで怖かっただろうね。

うちに来てすぐは夜寝るときはクンクン鳴いたし、初めて見るのもがあれば震えてた。

でも、人のことは大好きだった。

きっと、すごく優しいブリーダーさんに、大事に育てられたんだろうね。

散歩していても、他の犬のことは気にならないのに人を見ると尻尾を振って近づこうとするんだよ。

 

小さい小さい君はすごく優しくて、僕たちをずっと見守ってくれた。君が来て、家族の会話も増えて雰囲気が柔らかくなった気がするよ。

思春期の僕のそばで、一緒に大人になった。ときには君に嫌な思いをさせてしまったかもしれない。ごめんね。

可愛くて、人懐っこくて、パワフルでお茶目で優しい君にナイーブな僕は何度救われただろうか。

君のおかげで家族の笑顔はぐっと増えた。

君は我が家のアイドルで、みんな君のことが大好きだったんだ。

 

高校を卒業して地元を離れても、ことあるごとに実家に帰ってたよ。

家族と電話するときはいつも君の様子を聞いてたよ。

 

最期、一緒にいれなくてごめんね。

けど、両親や弟と一緒に過ごせたようで、良かった。

一ヶ月前、帰省したときに会えてよかったよ。お礼を言えてよかった。

帰り際、僕を見送ってくれた君を見たのが、お別れになったね。

 

君と離れて過ごす日々が日常になっていたから、まだ君がいない実感がないよ。

実家に帰ったら、君が出迎えてくれる気がするんだ。

君が僕たちと過ごした日々を、幸せに思ってくれていたら嬉しい。

ありがとう。